完結明瞭な会話
彼といると
会話の一文が
求める求めないにかかわらず
完結明瞭な説明文になっていることを知る。
たとえば霧が深い夜に
消防車のサイレンが近くに聞こえた時
私:「近くみたいだね」
彼:「霧で水分が多いから音が近くに聞こえるんだね」
私:「へえ」
たとえば一緒に食材の買い物に行った時
残暑が続く中、冬瓜を見た。
私:「冬瓜を初めて見たよ」
彼:「冬瓜はそのまま転がしておいても冬までもつから冬瓜というんだよ」
私:「へえ」
たとえば私がさつまいもを買おうとしたとき。
彼:「さつまいもって薩摩から伝わったからの名前なんだよ。
九州では琉球いもっていうんだよ」
私:「へえ」
彼:「沖縄から薩摩に伝わったからね。では沖縄ではなんて言うと思う」
困ったことに
時々、会話がクイズにもなる。
私が知らないと首を振ると
彼:「唐芋っていうんだよ。中国から伝わってるんだね。
名前でさつまいもが伝わった歴史がわかるよね」
私:「へえ。本当だ」
会話が求めていないクイズ形式になっても
分かりやすさはかわりない。